しかられ日和

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【ネタバレなしレビュー】「デスカムトゥルー」という"作品"

6月25日にイザナギゲームズより発売されました「デスカムトゥルー」(以後DCT)に関してレビューしたいと思います。

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ジャンルとしてはADVとしてカテゴライズされています。

本作はADVでも実写で展開していくタイプでかなり珍しいタイプのADVになります。

 

筆者が実写ADVとして真っ先に思い浮かべるのは2008年にセガスパイク・チュンソフトより発売された「428 封鎖された渋谷で」です。

大変良作なので是非プレイしていただきたい作品です。2020年7月10日まで80%オフの792円で販売されてます! 

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今回のDCTの脚本担当の方が元々428と同じスパイク・チュンソフトのスタッフ、ダンガンロンパシリーズの小高和剛氏が脚本(428の脚本担当ではないですが・・・)かつ同じ実写ADVということもあり前情報なしでDCTを購入してみましたが同じ実写ADVでもかなり異なった作風でした。

 

 

全編ムービーという新しいゲーム体験

今回比較として428を例に出しましたが428では実写を採用しているものの文章で物語が進み、展開に合わせて挿絵のように役者が登場する所謂紙芝居方式になっています。

f:id:lockthebird777:20200627213806j:plain画像は428でのワンシーン

 

 

それに対してDCTでは文は分岐の選択肢のみで全編がムービーで構成されている新感覚ゲームとなっています。

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そんなムービーで展開される中、重要な局面でプレイヤーは選択を迫られ選択肢によって物語の展開が変わっていきます。

 

このゲームの大きなポイントは全編ムービーで構成することにより、一般的なノベルゲーム等でありがちな主人公の心の声や状況説明文章などがほとんど無く、より一層プレイヤー独自の思考で展開を楽しめる部分にあると思っています。そんな作品の効果で宛ら作品に参加しているような体験を味わうことができました。

 

このゲームのターゲット層

全編ムービーというゲーム性は裏を返せば選択肢以外はプレイヤーはただ展開を眺めるだけであり、"ゲーム"と呼ぶのに違和感を感じる部分があります。

 

しかし近年、ゲームをプレイせずに実況者のプレイ動画だけ見て満足するユーザー層が増えてきているように感じます。配信者のリアクションを見るのが目的というのももちろん大きい部分だと思いますが、労働で疲れて実際に腰を据えてゲームプレイするまでの気力がないというリスナーの声も耳にします。

そもそも一般層だと据え置き機を持っていなくてプレイできないという方々も多いと思います。

 

DCTではそんなユーザー層をかなり意識した作品なのではないかと考えています。

本作の現時点の対応プレットフォームはNintendoSwitch/iOS/Androidでこれらは同時に発売しています。据え置き機と携帯版での同時リリースは珍しいパターンだと思います。

また価格設定も税込み1,960円と求めやすい価格設定です。実際にプレイしての感想ですが作品も意識的にサブカル要素をほとんど排除しているように見えました。一般層でも口コミ経由でオススメしやすく、幅広く触れやすい作品だと思います。

 

この作品は"買い"なのか?

DCTはお手頃な値段設定とプレイヤー層を広くしていることもあって普段からノベルゲーを幅広く遊んでいるゲームユーザーに対してはシナリオ自体は短く、分岐も少ないため物足りなく感じる部分はあると思います。

ただこの価格帯で428のような洗練されたシナリオとボリュームを求めるのは正直酷だと思います。(428も今でこそ安いですが当時はWiiで7000円超えていました)

 

個人的にこの作品はゲームとしてではなく"プレイヤー体験型の映画"の1作品として買ってみてほしいなと感じます。実際にプレイした後の気分はゲームをクリアしたときよりも映画を見た後の気分に近いものでした。

とはいえ一応はADVなのでADVの入門としても良いものかもしれません。

 

またこのゲームを触れてみてゲームのハードルが下がってゲームに触れる層の幅が広がってくれたら嬉しいなと思ってます。